理系×遠州鉄道 座談会 INSIDE TALKING
~理系は“文系職”でも活躍できるか!? ~
出身:理工学部 経営工学科
現職:総務部 部長
入社後は主に総務畑を歩み、庶務や秘書、経理など全社的な視点で遠州鉄道を見つめてきた。現在は総務部長として、経営にも深く関わっている。
出身:工学部 資源工学科
現職:保険営業部 生命保険営業課 課長
運輸から総務、百貨店への出向に経営企画などさまざまな部署を経験し、幅広い業務経験と人脈を築く。現在は保険営業部でエリア拡大・人材採用を担当。
出身:工学部 環境システム工学科(土木)
現職:運輸業務部 運輸総務課 副課長
運輸事業に始まり、労務関係を経て再び運輸事業へ。システム関連の業務に強みを発揮し、現部署では自動車事業全体のOA機器管理を担当している。
出身:理工学部 物理学科
現職:介護事業部 介護業務課 副課長
バス事業を皮切りに、労務を4年経験した後、現在の介護事業へ。独自性の強い介護事業部で、人事や労務管理といった人材マネジメント全般に携わる。
出身:理工学部 応用化学科
現職:不動産事業部 掛川不動産営業所
今回の座談会の中では最若手。入社以来、不動産営業一筋で今に至る。お客様第一主義の姿勢と持ち前の明るさで、地域のお客様より信頼を集める。
「理系社員」は社内で光っているか?
───これまで、職場で「理系」「文系」の違いを意識したことはありますか?
丸山:自分自身のことを言えば、最近は理系という意識はないかな。ただ、何事においても直感などに頼らず、「仮説→検証」というプロセスを踏まないと気が済まないという性格は根付いているね。
石原:それは僕も感じますね。以前、僕はここにいる小林君と同じ部署にいたことがあるのですが、その時に印象的だったのは彼のプレゼンのやり方です。言葉で説明しようとする社員が多い中、彼はなるべく図やグラフを使って、ビジュアルで説明しようとする。だからわかりやすいし、説得力もあるんですよね。それは逆に僕の方が学ばせてもらいましたよ。
中野:確かに自分が理系だ、なんて普段意識することはほとんどありませんが、他の理系出身者を見ているとそう感じることはありますね。ロジカルに物事を考えることとかね。気合だ根性だ精神論だけでは響かないというか(笑)。ひとつの答えを求める過程では、考え方を論理的に展開しなければならないことを大学時代に経験しているからかな。
小林:仕事も、数学や物理と一緒で、ゴールを決めて、そこに至るプロセスを組み立てていかなければうまくいかない点は共通していますからね。それがないと失敗しても原因がわからないし、失敗に至る分岐点まで戻ってやり直すこともできない。非効率ですよ。
久島:自覚したことはなかったけれど、この仕事は何のためにやっているのか。そのために必要なことは何かを、常に考えるクセはありますね。非効率的なことはやりたくないというか。それを理系っぽいと言われれば、そんな気もしますね。
───業務を遂行する上で、「理系出身」の強みを感じたことはありますか?
丸山:どう? みんな強みを実感してる?(笑)
小林:自分のことはともかく(笑)、他の理系出身者を見ていると、先ほども話があった「物事を論理的に考えて結論を出すこと」にたけている社員が多いのは感じますね。
丸山:確かに、理系では「仮説」→「検証(実験)」→「証明または仮説修正」の考え方は当たり前なんだけれども、実社会では必ずしも一般的とはいえない。僕にとっては入社後のちょっとした驚きだった。ただ、この考え方がビジネスで通用するとわかった時に、僕はこの会社でも十分やっていけると実感したね。
石原:IT社会なんてよくいわれますけど、以前に比べて、業務のスピードが求められているじゃないですか。スマートフォンやタブレット端末などビジネスツールも多様化していますし、パソコンを使った複雑な計算式を使いこなして、ビジネスのスピードを高めなければいけない。そんな局面でも理系の人材は強いように思いませんか?
中野:ITは現代社会じゃ切っても切り離せない存在だからね。僕は過去に「IT戦略課」という、当時遠州鉄道のIT化を促進する部署にいましたが、個人的には機械モノに抵抗がないのですんなり受け入れられた経験がある。
丸山:分野はさまざまだけれど、一つの事柄に真っすぐ向き合う人材が多いようにも感じるね。話をしていても、良くも悪くも一直線に話すというか……。
小林:私自身、その傾向はあるかもしれません。家庭では特に顕著なようで、自分に興味のない話には耳を傾けないと、よく家族に指摘されます(笑)。
石原:それって理系だからなのかな?(笑)
丸山:でも、さっき触れた「真っすぐ」な部分をはたから見ると、そう映るのかもしれないね。理系の人材が文系に対して持ちがちな「コミュニケーション能力」のコンプレックスは、こういうところにもあるのかも。
中野:もちろん、いろんな人がいますから一概には言えませんけれどね。
久島:自分の学生時代を振り返ると、やっぱり研究一直線という友人は多かったように思います。僕はアルバイトや他のことにも興味があってあちこちに目を向けていましたが、その中で人と接することの楽しさを知って、そんな仕事がしたいという将来像を培っていきました。
石原:そうした一つの物事に集中できる力を生かせば、仕事では大いに活躍できるんじゃないでしょうか。業務の細分化と段取りの組み立て、冷静な分析力、制約がある中で起案する力、このあたりは学生時代に鍛えられてきているはずですから。
小林:熱意も大事ですが、やはり裏付けがしっかりしていないと成功には結び付きにくい。
久島:業務で求められる要素はいろいろありますが、やはり課題解決力は理系の勉強をしてきた人の大きな強みかもしれませんね。協調性やコミュニケーション力は努力で何とでもなるけれど、思考のプロセスや解を導き出すための自分なりのセオリーといったものは、資質やこれまで培ってきたものが大きいと思いますから。
「文系企業」を目指す理系学生たちへ
───皆さんは、就職活動の当初から、いわゆる「文系企業」を目指していたのですか?
石原:僕は違いましたね。学生時代に目指していたのはSE(システムエンジニア)だった。
中野:僕も違う。
久島:それなら、どうして遠州鉄道を志望するようになったんですか?
石原:システムエンジニアの仕事って、出世していけばどうかはわからないけれど、とにかく若いうちは一日中、黙々とPCに張り付いているようなイメージだったんだよ。実際にシステム開発会社も受けたし職場見学もしたけれど、最後までその雰囲気にはなじめなかった。そんな時、たまたま会社説明会で遠州鉄道と出会って、“人と接する仕事”がとても魅力的に思えたんだ。
中野:僕は、元々理系専門の職種を志望していたんだけど、諸事情により断念せざるを得なくなった。それで自分の新たな進路を模索するため、いろいろな企業を研究しているうちに、当時アルバイトしていたホテルの仕事が案外自分に合っている気がしてきたんだ。石原君と同じように“人と接する仕事”の魅力に気付いた、と言えるかもしれない。同時に、地元に帰りたい思いも強かったので、その両者が結び付いたところに遠州鉄道があった。
丸山:僕が遠州鉄道に入った理由も、ふたりと似ているかもしれない。実は、僕は当初、遠州鉄道以外の企業にほぼ決まりかけていて……。
小林:どちらですか?
丸山:・・・・・(県西部に本社を置く世界的メーカー)だよ。
一同:へえー!
丸山:ただ、当時は東京の大学に通っていたから、その1社の選考のためだけに帰省するのも効率が悪い。そこで「その他の候補」として遠州鉄道も受けていたんだ。ところが、その第一志望だったメーカーの本社を訪問した時、職場の雰囲気になじめなくて……。その一方で、同時に訪れた遠州鉄道は社員がみんな生き生きしていて、その活気ある職場がとても人間らしく映った。もともと僕には、“理数系”という理詰めの世界をちょっと窮屈に感じている面もあったから、遠州鉄道が新しい道を示してくれたように思えたんだ。
久島:僕は、遠州鉄道との出会い自体は遅かったものの、当初から営業志望でした。大学では基礎研究分野を専攻していたのですが、自分の研究の延長線が世の中の役に立つかどうかもわかりませんし、そもそも存在するのかもわからない答えを追究する苦しさを感じていたこともあって、自分の仕事に対する成果を、相手の喜びとしてじかに感じられる仕事に憧れたんです。
石原:なるほどね。
久島:それなら化粧品メーカーのようにこれまでの知識を生かせる化学系企業の営業職が有利だろうと考えたので、当初はそういった企業ばかり探していました。でも中野さんと同じく、僕も地元に帰りたい気持ちが強かった。ところがこれといった企業もなくて、だったら逆に何でもできそうな遠州鉄道はどうだろうと(笑)。
小林:みなさんの話を聞いていると、僕はちょっと特殊かもしれません。僕は大学院まで土木を学んできたので、卒業後も学業を生かせる分野しか考えていませんでした。具体的には鉄道会社や鉄道関係の公団など、技術職の仕事に就きたいと思っていたんです。
久島:じゃあ、鉄道会社ということで遠州鉄道だったんですか?
小林:それが、ちょっと違うんだ。実は修士課程2年の時に、大学4年で卒業して遠州鉄道に入社していた同級生と再会したんだけれど、そこで高架事業の話を聞いたんだよ。当時はちょうど浜松市の第2期鉄道高架化事業の真っ最中だった。それで遠州鉄道に入ったら高架のような大工事に携われるかもしれないと思って。それが遠州鉄道を意識したきっかけだったね。
───理系の学生が「文系企業」を目指すには、やはり勝手の違いに戸惑ったり、有利不利な点があったりしたのでしょうか?
久島:理数系の学生は修士課程に進む人が多いイメージがあるようですが、僕の学校では比較的多くの学生が大学4年で卒業していましたね。だから営業職ということで多少周囲と差はありましたけど、あまり就活で周りから浮いた、という経験はしませんでしたよ。
中野:うちは大学院へ進学する学生が約8割という学部だったから、大学4年で卒業するというだけでも、少しイレギュラーな存在だった。もちろん就職や将来の話はするけれども、やはり大学院に進む友人とは、考え方や感じ方にギャップが出てきてしまうよね。
丸山:僕と久島君ではだいぶ世代の開きもあるけれど、理系じゃない企業を目指しているって点でも苦労はなかった?
久島:周囲と話題が共有できない、ということは時々ありました。社名を言っても通じない、とか。特に遠州鉄道は事業の幅が大きくて、単に鉄道事業だけを行っている会社じゃないことを説明しようとすると、とても大変でしたね。
石原:僕の場合は、友人はともかく親の反応が大変でしたよ。ずっとここまで理系で来て、しかも地元にこれだけメーカーがある中で、どうして違う道を選ぶんだって。
丸山:うちの親もそうだった。
久島:そうなんですか!? うちの親は大喜びでしたよ。まあ基礎研究ということもあって、将来その道一本で大丈夫なのかっていう不安があったのかもしれませんね。また研究を続けていこうにも、研究機関や関連企業は少なくとも地元にはありませんから、遠州鉄道なら地元から離れることはないっていう安心感が大きかったみたいです。
小林:僕はさっき話したように、高架化事業をやりたいという明確な目標を持って、入社を志望していました。でも実際問題として事業はもう進んでしまっており、選考の時にもはっきりと「それはできないよ」と言われていたんですね。だから、「ああ、これは落ちたな」と思っていたんです。でも不思議なことに選考を通った。当時は建設業界が不況で土木の学生はみんな苦労していましたから、親はすごく喜んでくれました。転勤はないし安定感はあるし。でも、僕自身は、いまだによく受かったなあと思っていますよ(笑)。
───試験や選考の場面ではどうでしたか?
中野:筆記試験では、理系も文系もそれほど差はないですよね?
石原:僕は小論文が苦手だったけど(笑)。
丸山:僕自身の就活はもうはるか昔なので、むしろ面接する側として言わせてもらうと、理系学生は一生懸命さのあまり相手の反応を無視して一直線な語りになってしまうことがあるので、熱意と冷静さのバランスを意識することが大切だと思うよ。
中野:僕も違いを感じるのは集団面接ですね。他の学生を見ていても、理系の子はちょっと引いたスタンスに見えることがよくあるんです。良く言えばクール、冷静なんだけど、他の学生がいわゆるコミュニケーション力にたけていると、ともすれば面接官の目には押され気味のように映ってしまう。
久島:アピールポイントが違うっていうことも大きいんじゃないでしょうか。文系の企業だと、面接官も文系の方が多いじゃないですか。で、定番の質問「学生時代に頑張ったもの」があったとしますよね。
石原:あるある(笑)。
久島:理系の学生にとっては、やっぱり学生時代に一番頑張ったものは研究だと思うんですよ。でも、たいてい専門的過ぎて面接官に理解してもらえない。僕も他の企業で、ずいぶん熱を込めて話したことがありましたが、全然相手に響かなくて拍子抜けしてしまったことがあります。質問も特になく、一方通行な面接になってしまって。
小林:「難しそうなことをやってるんだね」で終わっちゃうんだよね。でも、確かに専門外の人にいきなり理解しろというのは難しいですよ。
丸山:理系の企業といっても人事担当者も理系だとは限らないからね。さっき言ったようにバランスを意識して、相手にちゃんと伝わるように努めるのは、理系学生が文系企業で自分をうまくアピールするための秘訣かもしれないね。
石原:そういうときこそ、冒頭の小林君のプレゼンの話のように情報を整理して、難しいことでもわかりやすく説明できる能力を発揮するべきですよね。それって仕事でも大切ですから、面接官は必ず評価します。
久島:これは僕の反省点でもあるんですが、面接というのは自分をアピールする場であって、研究発表会ではない。何年も真剣に打ち込んできたのだから研究内容について熱心に話す気持ちはわかるけど、相手が求めているのは研究成果ではなく、“研究を通じてどんな人間に成長したか”を知ることなんだって。
中野:もちろん、どんな研究をしてきたかは大きなアピールポイントだと思う。でも、ことに学業と事業が直結しない企業を受けるのなら、会社が本当は何を知りたいのかを理解して、それに対して自分の強みを打ち出していくことが大切なんだよ。企業はその時点での学生の能力よりも、どんな姿勢で勉強や部活、アルバイトなどに向き合い、どんな人物像を形成してきたかを知りたい。大切なのは入社してからの可能性、伸び代だからね。
丸山:研究一筋で会話が苦手、人前で話すのが苦手という子も少なくないけど、面接というのは、言い方を変えれば自分をプレゼンすることなんだ。理系の学生なら、研究発表など何度もプレゼンテーションの経験を積んできたはず。客観的に自分を見るいい機会にもなるし、面接を一つのプレゼンだと思って臨むのもいいんじゃないかな。
理系 × 遠州鉄道 その魅力と、皆さんへのメッセージ
───皆さんの考える、遠州鉄道の魅力とは?
丸山:座談会のテーマが理系だというのでここまで理系中心に語ってきましたが、実際は理系も文系も分け隔てなく、人の喜ぶ顔が見られる仕事ができるのが遠州鉄道の魅力です。理系の道を歩んできた学生は、専門性が高いこともあって専攻や学業につながる職場を目指す傾向が強いけれど、大学の4年間や6年間に縛られて40年以上続く人生の道筋を決めてしまっていいのか、と僕は思っている。そういう意味では、あえて専門外の会社のインターンシップを受けてみるとか、説明会に参加してみるとかして、自分を別な角度から見つめる機会を持つことをお勧めします。それで結局理系の道を進むことになっても、他を知った上で選んだのだから意識が変わっているはず。決して無駄や遠回りじゃない。
中野:遠州鉄道は基本的に接客業なので、お客様と会話しながらの仕事になる。それが最大の魅力ですね。また、従業員同士の顔が見えやすいという点も僕は気に入っています。グループ間でたくさんの事業がありますが、それもやっぱりお互いの顔が見える距離で展開されていますし、地域に根差した会社なので社外の人とも長期的な関係が築けます。つまり、人間のつながりの中で仕事ができるということです。相手が機械や数字ばかりではないというところで理系にはない文化がありますので、それを体験するだけでも大きな価値があると思っています。
石原:僕は運輸事業を通じて、地元の行事とより深く関わってきました。正月の法多山初詣、5月の浜松まつり、夏には舘山寺の灯籠流し花火大会など、地域の魅力を再確認できる機会がたくさんあります。花博や万博への臨時便も、忙しかったけれどいい思い出です。まさに「地域とともに歩む」という遠鉄グループの企業理念をその身を持って体感できるのは大きな魅力です。
久島:企業理念や「この地域をより良くしたい」という想いのもとに、皆が同じ方向を向いている会社だなということをいつも実感しますね。その共通の想いを軸にして、不動産や保険、運輸といったいろんなアプローチができる。業務が多岐にわたるので、同期や職場の先輩・後輩から受ける刺激も多いですよ。サービス業界ということで理系の人材の目を引きにくいかもしれませんが、人生の幅を広げるつもりで説明会などに来てほしい。必ず何か得るものがあるはずです。
小林:遠州地域が好きな方なら、働いていても楽しいし生活も充実します。地域を盛り上げるのが仕事だなんて、夢があって素敵だと思いませんか?
中野:今、僕は保険事業に携わっていますが、どうやって地域の人の保険ニーズをくみ取って販売につなげていくか、その仕組みを考えられる人材が切に求められています。目標に向かって自ら道筋を考え、試行錯誤を繰り返しながらも最適解を導き出す。理系の勉強をしてきた人には当たり前に思える課題解決のプロセスですが、それを自ら考え実行できる人は、実は多くない。だから、僕は理系の人材というか、理系の勉強をしてきた人間が活躍できる局面はたくさんあると考えています。
久島:学問の道を歩いてきた皆さんが「営業をする」という行為に不安を感じるのはわかります。でも、仕事で結果を求められるのはどの企業だって同じ。だったら、比較的短期間で結果が出る営業現場は、仕事の手応えが大きいし、いろんな挑戦ができるという魅力があります。
丸山:このように、遠州鉄道はいろんな人がいていろんなことをしている会社。その業務の多様性と留まることのない挑戦姿勢が、この会社の最大の魅力かもしれません。今回は座談会の企画のためにあえてわかりやすく色分けしていますが、遠州鉄道にとっては、理系社員の論理的な思考と文系社員の熱意や行動力は、どちらも欠くことのできない両輪なんです。だから、少数派の理系社員は、ある意味でその多様性をより広げてこの会社を面白くしてくれるカギを握っているともいえます。
今、企業選びという人生の岐路に立っている皆さんには、ぜひこの機会に遠州鉄道に注目していただき、こんな会社や働き方もあるんだということを知ってほしいですね。