Leader's Interview
プロジェクトリーダーが、現在の進捗や将来の目標、
プロジェクトにかける想いを語ります。
経営企画部 部長 河合 正志
Leader's Interview
プロジェクトリーダーが、現在の進捗や将来の目標、
プロジェクトにかける想いを語ります。
経営企画部 部長 河合 正志
─── 「浜松まちなかにぎわい協議会」は、どのような経緯で誕生したのですか?
河合:「ニュースなどでも報じられてきたように、現代の日本社会、とりわけ地方都市にとって、少子高齢化や郊外の大型ショッピングセンターの台頭などによる中心市街の空洞化は、大きな問題になっています。遠鉄としては、百貨店や運輸事業での収益の伸び悩みや、現在浜松駅前に建設中の新商業ビルの展望といった経営上の理由に加え、当社が根ざす遠州地方、その中心である浜松を支える社会的責任の双方から、この問題に取り組んできました」
山内:「ただ、遠鉄グループ各社がそれぞれ営業努力を重ね、イベントを行ったりキャンペーンを展開しても、個々の企業の活動としては限界がありますよね。もちろん遠鉄だけでなく、浜松に本社や拠点を置く各企業さんもいろいろ努力されていますし、行政とも各方面で協調して取り組みを進めてきましたが、それだけではダメだ、という気運が高まっていたんです」
河合:「そこで、当事者意識を持ちやすい民間主導の協議会を作って、浜松という街の価値を高め、一丸となって取り組んでいくために、『浜松まちなかにぎわい協議会』が結成されたのです。この協議会には、地元商工会議所や個人商店が加盟する浜松商店界連盟をはじめ、浜松の主要企業・団体が参加し、自分たちの問題として中心市街の活性化に取り組む体制ができています。民間主導のこういった組織は、全国でも珍しい存在といえますね」
─── その組織の中で、遠鉄グループはどのような役割を果たしているのでしょうか?
山内:「当社は本社も浜松にありますし、主要事業のほとんどを浜松市を中心とする遠州地方で展開していますから、このプロジェクト(以下PJ)にかける想いは並々ならぬものがあります。ですので、当社社長の竹内が会長となり、主動的な立場で取り組ませていただいています。事務局には会員企業・団体から7名が出向しておりますが、河合が事務局長を務め、私も事務局として参加していることからも、遠鉄の注力ぶりを察していただけるのではと思います」
─── PJの具体的な活動について教えてください。
河合:「このPJは始まったばかりなので、現在はまだ準備段階とも考えているんです。個々のイベントやキャンペーンをプランニングすることも急務ではあるのですが、まずこの協議会が浜松という街をどのようにプロデュースしていくか、浜松というブランドをどのように構築するのかを決める必要がある。そこで他の街や自治体がいわゆる村おこし、町おこし的に取り組んできた先例をお手本にできないかとずいぶん調査しましたね。ただ、結局こういった他事例をいくら眺めていても、それは理想論や教科書的なセオリーというだけで、実がないことにも気づきました」
山内:「私は主に地元の商店の方々や各社との折衝役に当たっているのですが、同じ浜松という街で暮らし、この街を盛り上げたいという共通目標を持ってはいても、話が詳細になるにつれて、街に対する想いや活性化の方向性に異なる意見が出てきてしまいます。だから、よその市町村でうまくいった方法が浜松にマッチするかといえば、なかなかそうもいかない。浜松には浜松の独特の商圏がありますし、何千人規模の企業から個人商店まで、当然価値観も商売の方法も違います。こういったステークホルダーの意見を集めて、「誰が」「どのようにして」浜松を盛り上げていくのか、というプランを、私たちの手で作り上げていくことが大切なんです。今はその段階だと考えています」
河合:「そういった意味でも、どこよりも地域に密着した企業である遠鉄が旗振り役を務めるのは、意義深いことではないでしょうか」
山内:「こうすればいい、という明確な解答もセオリーもありませんので、結局は自分たちがどれだけ情熱を持って浜松を盛り上げられるか、最終的にはそこに尽きると思います。企業で働く一人ひとりも、個々の商店主も、等しい熱さを持てるようにするのが事務局の役目じゃないかと。だからこその民間主導ですし、遠鉄はその役目にふさわしい企業だと自負しています」
河合:「浜松の中心部には、個人商店含めざっと2,000の会社がありますが、これまでだって、それぞれ企業努力を重ねてきているわけです。だから、突然『これからはこうしよう』と言われても、すんなり受け入れられなくて当然なんです。だから私たちは皆さんの意見を細やかに集めて、誰もが納得できる目標や方法を提案していくしかない。そのひとつの成果が、2010年の夏に行った『夏フェス』といえるでしょうね」
─── 「夏フェス」とはどのようなイベントでしょうか?
山内:「『浜松まちなかにぎわい協議会』が発足してすぐのことですが、四半期ごとに中心市街で大きなイベントをやりたいね、という声が上がりました。それまでも百貨店や商店街ではシーズンごとのイベントやキャンペーンを行っていたのですが、たとえばそれぞれが4、5万部くらいのチラシを打つより、まとめて10万部のPRを大々的に行ったほうが、当然効率はいい。そこで、テストケースという意味合いも込めて、2010年の7月から8月の夏休み期間、『夏フェスin machi』と銘打った複合型のイベントを企画したんです」
─── 事務局が主催を?
山内:「いえ、事務局が行ったのは、個々に企画されているイベントを『夏フェス』というひとつのアイコンで束ね、最大の相乗効果を狙ったところです。歩行者天国やビアガーデン、縁日といった大規模なものから、それぞれの商店が行う企画を『夏フェス』という大規模なイベントの一環とし、まちなか全体でお祭りのムードを作り出すようにさまざまな仕掛けを作るわけです。チラシやポスター、ラジオなどを使ったPRはもちろん、ゆかたを着ている方にはサービスをしてほしいとか、ウォークラリーに協力してほしいとか」
河合:「PJが始まったのが2010年の4月ですから、約3カ月間という準備期間でした。実行役は主に山内君が務めてくれましたが、よくこの期間でまとめてくれたと思いますよ」
山内:「民間主導のいいところは、先にも述べた当事者意識の強さと、スピードだと思うんです。その点ではゼロから立ち上げた企画を、初めてのメンバーで成し遂げられたということは、まさに狙い通りだったといえるのはないでしょうか」
河合:「私たちは民間企業ですから、『浜松まちなかにぎわい協議会』には当然会員各社の政策も反映されていますし、まちなかの活性化を最終的には利益につなげなければいけない使命を背負っています。でも、それだけではこういったイベントを成功させる推進力にはなり得ないんです。遠鉄でなければできない、などとおこがましいことを言うつもりはありませんが、それくらいの気概と地域に対する想いがなければ、地域振興をリードしていくことは難しいと、再認識しましたね」
山内:「これからも、毎週末の小規模な企画と年4回の大型イベントを中心に、まちなか活性化に向けた取り組みを行っていきます。まだ中心部の個人商店すべての協力が得られるまでにはほど遠いですし、関わる人数が増えるほど、同じ方向性、同じ温度を保つのは困難になっていくでしょう。でも夏フェスの成功で具体的な活動や方向性が示せたことで、これからはもっとまちなかの一体化が加速していくだろうという手応えをつかめましたね」
─── これからの「浜松まちなかにぎわい協議会」で大切なことはなんでしょうか?
河合:「こういった地域振興策は、全国でいろいろな都市が取り組んでいますが、成功例はごくわずかです。繰り返しになりますが、これをやればいいという正解がありませんから、運営する人間の想いや地元の方々との協力体制が重要になってくる」
山内:「私は実際に数多くの方々とお会いする中で、地道に自分たちの想いを伝えていくしかないということがわかってきましたね。近道はないんだと」
── 最後に、お二人の「想い」を聞かせていただけますか?
河合:「私たちは浜松でお客様をお迎えする立場でもあるわけですが、お客様が楽しく笑顔になれる街は、受け入れる私たちも楽しく仕事ができる街であるはずです。商売上だけではない、街の活性化の真意はここにあります。誰もが活き活きと暮らし、働き、楽しめる街。そんな浜松になれるよう、これからがいよいよ正念場だと思っています」
山内:「私にも覚えがありますが、郊外に住んでいる者にとって、20年前は浜松の中心市街に出かけることがステータスでした。家族でショッピングをしたり、食事を楽しんだり。それは街自体に魅力があったということなんです。浜松を、もう一度そういう街にしていきたい、個人の想いとしては僭越(せんえつ)かもしれませんが、それが私のモチベーションであり、夢ですね」
河合正志
経営企画部部長 兼 まちなかにぎわい課課長
入社年/1993年
(※現在は浜松まちなかマネジメント株式会社へ出向)
広告代理店勤務から、キャリア採用で遠鉄に入社。広告課で腕を振るう。その後、バンビツアーなど運輸関連の企画運営業務に携わり、経営企画部部長として浜松のまちなか活性化プロジェクトを発足、まちなかにぎわい課の課長を兼任する。
山内大輔
まちなかにぎわい課
課長代理
入社年/2000年
(※現在は営業推進部 営業推進課)
注文住宅の営業や不動産営業所勤務など、不動産分野に長く関わる。まちなかにぎわい課の発足に伴い異動し、浜松まちなかにぎわい協議会の事務局を兼務。不動産の営業で培ったコミュニケーション力が、業種も職種もさまざまな商店街の方々との折衝に役立っていると語る。
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